作りたいものがあっても、稼げなければ続かない。
いま、AR/VRが注目されていますが、まだ儲かっている会社は少ないと思います。
今は投資の時期なのか?現時点で収益化するにはどうすれば良いのか?
今後の業界の動きについて考えてみました。
特に今回はエンタメについて深く書きます。
VRの市場は予測に届いていない
まずはAR/VR業界の将来予測。毎年2倍に伸びていき2021年には1000億ドルを突破するという。
特にARの伸びが大きい。これはゲームに限らず、多分野での利用シーンが多いのが理由だと思われます。

[VR・ARの市場規模(単位:10億ドル) Digi-Capital ]
このようにガンガン成長していくと予測されているが、足元の2016年のVR市場は予測に届かなかったようだ。SuperData Researchによると、出荷台数はPlayStation VR が 75 万台、HTC Vive が 42 万台となっており、プラットフォームとしてのPS4の出荷数と比べるとはるかに低いし、同じくゲームのインターフェースデバイスであるkinectの初年度出荷数と比較しても非常に小さい。Gear VRは450万台となっているが、スマホプロモーションの一環で相当なお金をかけているので、”出荷数が多くて当然”という印象がある。
その背景には、ハード的な課題、魅力的なコンテンツ不足などの課題があり、その環境が整うにはもう少し時間がかかりそうだ。
ARはゲーム以外にも大きく広がる
一口にARやVRと言っても、様々な分野が存在する。
例えば、これがVRの業界マップ。

VRゲーム施設としてのビジネスもあれば、スポーツもあるし、医療もある。
別の切り口で言えば、ハード・開発ツール・コンテンツなど様々。まずはハードがないと始まらないので、この中だとoculusやSONY、 HTCなどのHMDメーカーが特に注目されている。

分野別で見ると、VRはゲームの領域が多いのに比べ、ARはコマースやゲーム以外のものが多い。ARはスマートフォンやタブレットのような日常的なプラットフォームになる可能性がある。まさにスマホの次の存在になるとも言える。
先に立ち上がるのはエンタープライズ向けのビジネス
ROAD TO VRの記事によると、Steamで25万ドル以上稼げているVRゲームは30個しかないという。デバイスがまだ普及していないし、魅力的なコンテンツも少ないんだからしょうがない。
先に広がるのはエンタープライズ向けのビジネスだと思われる。
現状、比較的黒字にしやすいビジネスとしては、企業プロモーション、企業向けの360度動画撮影・配信、アダルト動画などではないかと考えている。企業プロモーションは受託ビジネスに近いので、リスクをとって投資する要素が少ない。360度動画はイベントや店舗などターゲットとなる企業が幅広く、定型システムを構築して入れば量産が可能。そしてアダルト分野では確かなニーズがあり、すでにDMMをはじめとする様々な企業が参入し始めている。
AR/VRで遊べる施設が増えている
弊社のARエンターテイメント「HADO」はこの中でいうとロケーションベース(店舗型)のビジネス。テーマパークやアミューズメント施設の店舗内にコンテンツを設置し、「そこに行けば遊べる」というようにしている。
HADOの他にも海外だとthe VOIDやZERO LATENCY、国内だとVR ZONEやアドワーズなどが店舗を展開している。また、長崎のハウステンボスもVRに力を入れており、園内8施設に24のVR/ARコンテンツが入っている。
中国ではVRゲームセンターが各都市に大量に展開されており、街中の至る所で目にするようになってきている。
集客目的から収益目的へ
これまで、集客目的でAR/VRコンテンツを活用した店舗・企業は多かったが、これから至る所でコンテンツが増えていく中で、単に”目新しい”だけでは人は集まらなくなってくる。そこでしか体験できないもの、ハマるものがないと人は来ない。そして、VR/ARコンテンツが継続的に成長するためには、”集客力”だけではなく、”収益力”が必要だ。儲からなければ長く使ってもわえないし、設置場所も広がらない。
では、どのようにしたら稼げるのか?
場所によって課題は異なるので、下の表に代表的な店舗形態を3つほどまとめてみた。

まず共通して言えるのは、お客さんに対する最初の動機付け。AR/VRコンテンツは体験しなければ本当の良さが伝わらないので、どのようにその魅力を伝えるかが課題となる。動画や内装、体験者の叫び声など・・様々な手法でお客さんの興味をひく。
他にもゲームセンターで言うと、スタッフの人件費を削るために無人化する必要がある。また、大量の人を集客するというよりも1人のお客さんが何回リピートしてくれるかを考える必要がある。
一方、テーマパークで活用する場合、とにかく大量の人に遊んでもらえる仕組みにしなければいけない。面白いコンテンツ出会っても、1日100人しか体験できないようではテーマパークでは成り立たない。ゴーグルの装着や回収などを工夫し、回転率を上げる必要がある。
ちなみにテーマパークではVRを使ったコースターが徐々に広まってきている。それを国内で最も積極的に進めているのはユニバーサルスタジオ。
最近では「エヴァンゲリオン XRライド」が注目を集めている。
最後に
AR/VRのビジネスはまだ始まったばかり。解決すべき課題は多いが、非常に将来性のある分野だと思う。HADOも1つ1つ課題をクリアし、収益化ができるビジネスとして業界をリードしていきたい。