最近のe-Sports市場の動向まとめ

最近、e-Sports市場が盛り上がっているという話を聞きますが、どのように市場が出来上がっているのか気になったので調べて見ました。

e-Sportsとは:複数のプレイヤーで対戦されるコンピュータゲーム(ビデオゲーム)をスポーツ・競技として捉える際の名称(wikiより)

 

世界的に大きく成長を続けている

Newzooによると、2015年の世界のeスポーツ市場規模は3億2500万米ドル。2016年は43%増加して4億6300万米ドルに達するらしい。かなりの勢いで伸びています。

22

また、eスポーツのオーディエンスは2016年に1億3100万人にまで増え2019年には1億8000万人まで伸びるとのこと。市場規模をエリア別で見ると、アジアが最大で、そのうち韓国、中国のボリュームが大きくなっています。次に北米、ヨーロッパと続きます。日本だと正直あまり実感がないですが、世界市場は右肩上がりで成長を続けている状況です。

e-Sportsの市場を支えているのはスポンサーの存在ですが、代表的なスポンサーとしては、Logitech、NVIDA、intel、BenQ、日産、レッドブル、samsung、コカコーラなど。ハードウェアメーカーが比較的多いですが、飲料メーカーなども積極的に投資しています。

 

また、e-Sportsの代表的なゲームタイトルは、League of Legends、Dota2、StarCraftⅡ、Counter-Strikeなどあるが、その中のLeague of Legendsのデータを見て見ると、
・アカウント数:7500万人
・月間アクティブユーザー数:3200万人
・デイリーアクティブユーザー数:1200万人
・大会の総視聴者数(TV+ネット):3200万人
という数。その市場規模はサッカーや野球には及ばないですが、かなりの数のファンがついているのがわかります。

 

ゲームをやっていない人も観戦する

e-Sportsというと、コアゲーマーのための大会というイメージがあるかもしれませんが、決してそういうわけでもありません。Newzooによると、40%の人が自分でゲームをしていないとのこと。すごいことだと思います。これは単なるゲームというよりも、ちゃんとドラマ、チームプレー、実況があり、観て楽しめるコンテンツに昇華しているということだと思います。

配信のプラットフォームとしては、Amazonが買収したTwich、YouTube Gamingなどのネット系がメインですが、TV番組としても放送されています。アメリカのケーブルTVネットワークのTBSは、2016年には20個のE-Sportsの大会を放送。また、スポーツ放送を行うESPNも、「Heroes of the Dorm」という大学のゲーム大会の決勝戦を放送。どんどんe-Sportsが大衆のものに近づいています。

 

既存のスポーツ団体もマネージメントビジネスに参入

市場が大きくなるにつれて、徐々に周辺ビジネスが出来上がってきました。大会開催はもちろん、プロチームのマネージメントや専門学校、練習施設なども出てきています。

201603040705_01(日経)

特に面白いのが、プロチームのマネージメントビジネス。例えば、最近DetonatioN Gamingというチームがよくメディアによく取り上げられています。メンバーが共同生活を行い、一緒の空間で毎日10時間トレーニング。そのサポートのため、コーチ、戦術アナリスト、通訳、Web制作、メンタル管理、広報、映像配信スタッフが勤務して選手をサポートしています。

DetonatioNの梅崎さん曰く、プロゲーミングチームの収益となるものは、大会の賞金、スポンサー料、イベント出演料、そして動画配信ビジネスの4つ。中でも従来のスポーツと大きく異なるのが、ネットの動画配信。プロゲーマーが毎日試合の様子を配信し、ネットを通じてユーザーとの直接コミュニケーションをとっていくことで安定した収益を確保できるとのこと。

11(日経)

そのe-Sportsチームのマネージメントという領域に既存のスポーツチームも参入し始めています。

2016年9月、米プロバスケットボールリーグNBAのフィラデルフィア・76ersが、Team DignitasとApex Gamingという2つのeスポーツチームを買収。その翌日、eスポーツチームのTeam Liquidが、元NBA選手のマジック・ジョンソン氏やドジャースのオーナーのピーター・ガバー氏などの投資グループに、チームを身売り。さらに遡れば、2016年3月には元ニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲス氏や元NBAスター選手のシャキール・オニール氏などの投資グループが、eスポーツチームをマネジメントするNRG Esportsに出資しています。

この動きは日本でも始まっていて、2016年9月には東京ヴェルディーが日本eスポーツリーグに参戦し、FIFA部門、BLAZBLUE CENTRALFICTION部門、OverWatch部門を立ち上げました。

一見、スポーツチームがゲームに参入ってどうなのって思うのですが、相性は悪くないと思われます。参入のメリットとしてまず挙げられるのが、eスポーツのファン層の取り込み。ゲームが基本ということで、e-Sportsのファン層は10代、20代の若者が中心。スポーツと同じように、トッププレーヤーには熱狂的なファンがついています。e-Sportsを取り込むことで、若者層へのアプローチが可能になると言えます。e-Sportsは今後成長していく産業なので、今が価格的にも買い時なのかもしれません。また、今はまだ市場全体で明確なルールやリーダーがいるわけではないので、この段階で参入することで今後のリーダーシップが取れるというものあります。今までスポーツビジネスで培ったノウハウをe-Sportsで活かし、新たな収益源としていくチャンスだと思います。

 

なぜ日本でe-Sportsが流行らないのか?

ここまで大きく成長しているe-Sportsですが、日本ではあまり流行っていません。なぜでしょうか?法律で賞金の額が限定されているとか、ゲームは趣味でしかない、という話もありますが、根本的な理由はゲーム文化の違いだと思います。過去、韓国やアメリカがネット環境を整備し、PCのオンラインゲームを開拓している間、日本人はプレステのような優秀なコンソールを使ってローカルゲームを楽しんでいました。その結果、オンライン対戦の流れが他の国よりも遅くなったのだと思います。日本にも、対戦ゲームである「格ゲー」で強いプレーヤーがいますが、世界的に見ると格ゲーの市場規模(プレーヤー数)はあまり多くありません。謂わば、日本人が強みとしている分野はガラパゴス化しているのです。

ただ、「競技」とは別に、ゲーム動画配信の市場は広がってきていると感じます。ゲーム実況者が増え、YouTubeやニコ動、Twitch、Openrecなどを使った実況コンテンツは増えています。1つのコンテンツを深く掘って観るというよりもいろんなゲームを見て眺めるような楽しみ方だと思いますが、これも新しいメディアのあり方かなと思います。

 

わかりやすい映像コンテンツで観戦者の裾野を広げる

世界的にはe-Sportsが盛り上がりを見せていますが、さらに初めて観戦する人の敷居を低くし、裾野を広げられないかと考えています。観客が広がれば、スポンサーがつき、さらに市場全体が拡大していきます。ゲームのルールを知らない人でも、チームのことも知らない人でも、動画を見て直感的に面白さが伝わるようであれば、もっと世界中のいろんな人達を夢中にできるのではないでしょうか。ゲームの作り的に限界があると思いますが、映像の見せ方でもっと工夫できるかもしれません。

そういう意味では個人のゲーム実況者というよりも、テレビ局がしっかりと番組制作に乗り出すことで見せ方が変わってくるのかなと思います。テレビ局がゲーム会社と協力して、初心者にわかりやすく、完成度の高い映像コンテンツを本気で作ったらどうなるのか見てみたい。

ちなみに、通常のオンラインゲームに比べるとHADOはとても直感的に理解しやすいコンテンツだと思います。プレーヤーとキャラクターが一致しているのでその表情や感情がそのまま伝わってくる。既存のスポーツのように体の動きで「凄さ」がわかる。誰でも楽しめる映像コンテンツになると考えています。「体を使う」というのはわかりやすいし、表現が多様(情報量が多い)になりますよね。そこがARの良さでもあります。

e-Sportsの発展はまだまだ途中。meleapとしても新しい形のe-SportsとしてHADOの可能性を示していきたいと思います。

最近のe-Sports市場の動向まとめ” への1件のフィードバック

コメントを残す